お子様の健康をサポートします
当クリニックでは、お子様の急な発熱、鼻水、咳、のどの痛みなど「かぜ」の症状や、腹痛、下痢、便秘、吐き気、嘔吐、発疹などの一般的な小児科疾患から、気管支喘息、食物アレルギー、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎のようなアレルギー疾患、その他の小児科疾患まで広く小児診療をいたします。お子様の病気や健康について不安を感じられたら、まずはお気軽にご相談ください。「正確で、わかりやすく、優しく、あたたかい」医療を心がけ、診断と治療にあたります。お子様の症状に応じて必要な場合には、高度医療機関への紹介もいたしておりますのでご安心ください。
こんな症状はご相談ください
- 発熱
- せき
- たん
- のどの痛み
- 鼻水
- 鼻づまり
- 耳の痛み
- ゼーゼーしている
- 頭痛
- 腹痛
- はきけ
- 嘔吐
- 下痢
- 便秘
- 元気がない
- 発疹
- めやに
- 目のかゆみ
- 流行り眼
小児科の主な対象疾患
かぜ症候群
かぜ症候群とは、いわゆる「かぜ」のことで、発熱や鼻水、鼻づまり、せき、たん、のどの痛み、頭痛、からだがだるいなどの症状がみられます。原因はウイルスによるもので、細菌に対して処方する抗生物質は効きません。治療は症状を和らげるのが主体です。せきを和らげ、たんを出しやすく、熱を下げて体を楽にして食事や水分がとれるようにします。治療の目標は合併症や細菌による二次感染を防ぐことです。経過の中で改善しているかどうか、しっかりと経過をみていく必要があります。熱が持続する、症状がよくならない、食欲が落ちて、水分をあまりとらない、元気がなくなってきたなどはよくない経過です。様子をみないで必ず受診するようにいたしましょう。
インフルエンザ感染症
インフルエンザウイルスによる飛沫感染(感染者のせきやくしゃみで飛び散ったしぶき(飛沫)を吸い込むことにより感染すること)で感染します。潜伏期間は1~3日間です。インフルエンザウイルスは感染力が強く、合併症(肺炎、中耳炎、熱性けいれん、インフルエンザ脳症、心筋炎など)を発症したり、重症化することがあることから、普通の「かぜ」とは分けて考えます。特に注意すべき合併症はインフルエンザ脳症です。インフルエンザと診断された後に、意識がおかしい、けいれんをおこす、けいれん後の覚醒が悪くそれが長く持続している、異常行動(人がわからない、幻視や幻覚がある、意味不明なことをいう)などあればインフルエンザ脳症を疑います。その場合、高度医療機関へ受診する必要があります。
症状は、発熱(高熱)、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身のだるさと痛み、呼吸器症状(せき、たん、鼻水、のどの痛みなど)、腹部症状(吐き気、嘔吐、腹痛)が認められ、全身の症状が強く出現し、ぐったりした感じで、重篤感があります。肺炎やインフルエンザ脳症などを合併し、乳幼児や高齢者では死亡することもあります。
診断は迅速検査で、鼻腔から細い綿棒を挿入して、上咽頭粘膜のぬぐい液を採取します。それを検査して10分以内に結果が出ます。A型、B型の判別ができ、検査の感度(陽性率)は80%、特異度(陽性が出た場合のインフルエンザである確率)は95%です。発症12時間以内の検査の場合や、上咽頭粘膜のぬぐい液でなく、鼻汁、鼻かみ液での採取は感度が低下します。
治療には、抗インフルエンザウイルス薬(タミフル内服、イナビル吸入、リレンザ吸入、ゾフルーザ内服など)があります。ただし、インフルエンザにかかってから2日以内に投与しないと効果が少ないため、早期診断治療が重要です。
インフルエンザの予防として最も効果的な方法はインフルエンザワクチンの予防接種です。感染を完全に予防できなくて感染しても、発熱期間が短縮され、病気の症状を軽くするのに有効です。
溶連菌感染症
溶連菌感染症は、A群溶血連鎖球菌による感染症で咽頭炎を発症します。咽頭炎の原因には、溶連菌のほか、ウイルス(EBウイルスやアデノウイルスなど)もあります。原因がウイルスなのか溶連菌なのかの診断が重要になります。理由は、EBウイルスが原因の咽頭炎に対して溶連菌に対して処方するペニシリン系やセフェム系の抗生物質(細菌感染に対して通常よく処方される抗生物質です)を投与すると全身に発疹が出現してしまって、禁忌(してはいけない)となっているからです。抗生物質は細菌性(溶連菌性)と診断して処方されるものなのです。
症状は発熱(高熱)、悪寒、のどの痛み、のどや扁桃腺が赤くなり(発赤と出血班)、扁桃腺は腫れて、白色の苔のようなものが付着します。舌の表面にブツブツの赤みができること(いちご舌)があれば溶連菌の可能性が高くなります。頚部のリンパ節が腫れて痛むことや全身に小さな発疹が現れることもあります。溶連菌感染症の合併症として重要なのがリウマチ熱(溶連菌感染によって体内にできた抗体が自分の心臓や関節、神経を誤って攻撃して、発熱や心筋の炎症による胸痛、関節痛、けいれん性のコントロールできない動きなどが出現する疾患)と急性糸球体腎炎(溶連菌感染後に10日間くらいの潜伏期間を経て血尿、蛋白尿、尿量減少、むくみ、高血圧を発症する疾患)です。
診断は迅速の溶連菌抗原検査を行います。細い綿棒で咽頭のぬぐい液を採取して検査し、陽性と出れば診断できます。迅速検査はA群β溶血連鎖球菌のみを検出するので、溶連菌感染を疑えば、迅速検査陰性の場合、咽頭培養検査をさらに追加して提出します。
治療は抗生物質を10日間以上服用します。服用を途中でやめてしまうと、リウマチ熱などの合併症を発症する危険性が高まりますので、必ず抗生物質は決まった期間飲み続けます。抗生物質で治療を続け、24時間経過して、解熱して元気であれば登校は可能です。
クループ症候群
かぜをひいたときにのどの奥の喉頭が腫れて、狭窄したときに生じます。オットセイが吠えているような咳が出ます。夜にひどくなることがあって息苦しくなったり、急に声のかすれがひどくなる場合には入院する必要があります。
治療は、ボスミンという薬を吸入してのどの腫れを抑え、ステロイドの飲み薬でのどの炎症と腫れを抑えます。多くはこの治療でよく治ります。
気管支炎、肺炎
ウイルス性、細菌性、マイコプラズマ肺炎などが原因となります。乳幼児では、うまく咳ができず、痰が出せないため肺炎になりやすいです。悪化すれば、体の中の酸素が低下して酸素吸入が必要になります。また抗生物質の投与も点滴の投与が必要になりますので入院治療になります。外来で注意深く経過をみていくことが重要です。
年齢によって肺炎の原因が変わることが特徴です。
生後3週間~3か月:RSウイルス、肺炎球菌、百日咳菌
4か月~4歳:RSウイルス、パラインフルエンザウイルス、インフルエンザウイルス、肺炎球菌、マイコプラズマ
5歳以上:マイコプラズマ、肺炎クラミジア、肺炎球菌
気管支喘息
1歳を過ぎたころから繰り返す咳、呼吸がゼーゼーしたり、息が苦しそうで眠れないなどの症状で始まります。小学生の10%弱がこの病気にかかっていると言われ、小児の慢性疾患の一つです。病態は、気道の粘膜に持続的な炎症がおこって、せきや粘液物(たん)が出て、気道の粘膜、筋肉層における可逆性の狭窄を生じて、せきと呼吸がゼーゼーする疾患です。ポイントは治療により炎症と狭窄が改善する可逆性の病態で、再発もするが、寛解もする、そういう病態を繰り返すということです。
小児の気管支喘息は大人の場合と異なり、根気よく治療すれば約7割が完全治癒します。小児気管支喘息の原因の一つにアレルギーがあります。代表的なアレルゲン(アレルギーの原因)はダニ、ハウスダスト、カビ、動物の毛や落屑(ふけ)、植物の花粉などです。このほかにも季節、天候の変化、食物、薬品など、いくつかの要因が重なって喘息発作を引き起こすこともあります。特に乳幼児期は、かぜが引き金になって喘息発作を引き起こすことが多いです。原因を調べ、アレルゲンの除去(環境整備、布団のダニを退治する、こまめに掃除する、アレルゲンとなっているペットや植物から離れる生活をする)と適切な治療を行うことで、症状はとてもよくなります。疑わしい症状があるときには早めの受診をおすすめします。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う湿疹が繰り返し出現する病気です。増悪と寛解を繰り返します。発症原因としては、皮膚に起こるアレルギー炎症と先天的にもっている皮膚、特に角質層の特殊性(ドライスキンによる皮膚バリア障害)があげられます。
症状は、乳児は顔面や頭皮を中心とした赤い湿疹や耳切れ、病変部のかきむしりあとがある、などです。幼児、学童期は、首すじ、わき、ひじ、膝の裏の皮膚を中心とした赤い湿疹と耳切れ、かきむしりあとがある、などです。特徴は皮膚にかゆみがあって、慢性の経過(発症後6か月以上)をとっているということです。
治療は、皮膚を清潔に保つことで皮膚への刺激を抑える、環境整備をしてダニやハウスダストなどの原因アレルゲンを除去する、保湿、皮膚保護としてヒルドイドソフトやワセリンを塗布する、かゆみと湿疹が強い場合は、ステロイドの軟膏(小児はマイルドなアルメタ軟膏やロコイド軟膏)から処方、抗アレルギー薬(ザジテン、アレジオン、セルテクトなど)の内服などです。
1歳までは乳児湿疹と区別がつかないことも多いので、症状が広がるようでは早めの受診をおすすめします。
食物アレルギー
食物アレルギーは、ある特定の食物を食べた後、アレルギー反応により、じんましんなどの皮膚症状、嘔吐や下痢などの腹部症状、咳やゼーゼーなどの呼吸器症状を起こす病気です。食物アレルギーは適切に診断し、原因食物を一定期間適切に除去することを行えば、成長とともに問題なく食べられるようになることも多いです。
アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎
何らかのアレルゲンによって、鼻粘膜、眼球結膜が炎症をおこす疾患です。くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどをおこします。花粉による季節性のものと、ダニ、ハウスダストなど通年性のものがあります。花粉による季節性のアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎を花粉症と言います。最近花粉症も低年齢化が進んでおり、2歳くらいから鼻炎症状が出るお子さんもいます。かぜなどの感染症との見極めが大事です。
治療はアレルゲンの除去と抗アレルギー薬の内服、ステロイド吸鼻薬、抗アレルギー薬の点眼薬などです。
じんましん
突然のかゆみのある盛り上がる湿疹が特徴的です。食物アレルギー、薬品アレルギーのほかに、動物、植物、かぜ、寒さなど、たくさんの原因があります。原因を特定するのはなかなか難しいですが、一緒に調べていきましょう。
治療は、抗アレルギー薬(ザジテン、アレジオン、セルテクトなど)の内服を処方します。抗アレルギー薬の軟膏(レスタミン軟膏)を塗ることもあります。これに加え、冷やすと痒みも楽になります。逆に温めるとかゆみは増します。じんましんと同時に呼吸が苦しくなっていることがあります。これは全身のアレルギー反応で喉頭と気管支粘膜がむくんでいる状態で、重症です。その場合は抗アレルギー薬(アタラックスP)とステロイド(サクシゾンなど)の点滴治療が必要になります。
はしか(麻疹)
麻疹ウイルスによる空気感染(感染者のせきやくしゃみで飛び散った微細な粒子(飛沫核)を吸い込むことにより感染すること)で感染します。潜伏期間は10~12日間です。好発年齢は1~3歳です。
症状は、発熱、かぜ症状から始まり、コプリック班と言って口腔内の頬の粘膜の中央部奥に周囲が赤く中心が白い斑点が出現するのが特徴的です。その後一旦熱は下がりますが、再び高熱が出現し、同時に発疹が認められます。発疹は顔面、首すじに出現し、その後、からだと手足に拡大し、癒合してきます。特に乳幼児は、肺炎、中耳炎、脳炎(1000例で1例程の発症頻度)など合併症を発症して重症化しやすい怖い病気です。感染力が非常に強いので速やかに診断し隔離したうえで治療することになります。また5類感染症の扱いなので、はしかと診断された場合は、医師が保健所に届け出をします。
診断は咽頭ぬぐい液からウイルスを分離する方法や、咽頭ぬぐい液をPCR法によって病原体遺伝子を検出する方法などがあります。
治療は、ウイルス感染症なので抗生物質はなく、対症療法(症状に対しての薬の投与)になります。麻疹患者に接触した場合、接触72時間以内は、麻疹ワクチンの接種により発症予防効果が期待できます。また接触72時間以上6日以内なら免疫グロブリンの投与で発病を防止するか症状が軽くすみます。
麻疹・風疹ワクチン(MRワクチン)による予防接種が有効ですので、ぜひ1歳になったら予防接種をしましょう。麻疹・風疹ワクチン(MRワクチン)は1歳以上2歳未満で1回、あと就学前1年間で接種の計2回接種します。定期予防接種になっています。
風しん(三日はしか)
風しんウイルスによる飛沫感染(感染者のせきやくしゃみで飛び散ったしぶき(飛沫)を吸い込むことにより感染すること)で感染します。潜伏期間は2~3週間、好発年齢は3~10歳です。
症状は、3日間続く発熱、発疹、頚部のリンパ節の腫れを特徴とします。発熱も発疹も約3日で消失するので、3日はしかとも呼ばれています。妊娠初期に風しんに感染すると、先天性風疹症候群を呈することがあり、胎児に小眼球症、心奇形、難聴、小頭症をきたします。
治療は、ウイルス感染症なので抗生物質はなく、対症療法(症状に対しての薬の投与)になります。
子供の時期にしっかりとワクチンを接種して、将来の先天性風疹症候群の出生を予防しましょう。麻疹・風疹ワクチン(MRワクチン)は1歳以上2歳未満で1回、あと就学前1年間で接種の計2回接種します。定期予防接種になっています。
おたふく(流行性耳下腺炎)
ムンプスウイルスの飛沫感染(感染者のせきやくしゃみで飛び散ったしぶき(飛沫)を吸い込むことにより感染すること)で感染します。潜伏期間は約2週間です。
症状は、発熱、頭痛、耳の下にある耳下腺が腫れて痛み、などです。子供は最初に「耳が痛い」ということがあります。耳下腺は左右両方が腫れることが多いですが、片側の場合も25%ほど認めます。約1週間で自然に治まることが多いですが、合併症に注意しながら、症状を和らげる治療を行っていきます。合併症は髄膜炎(10%ほど)、急性膵炎、睾丸炎、感音性難聴です。
治療は、ウイルス感染症なので抗生物質はなく、対症療法(症状に対しての薬の投与)になります。予防には、ワクチンの接種が有効です。ワクチンは1歳と就学前1年間の2回接種が推奨されていますが、任意接種です。
水ぼうそう(水痘)
水痘、帯状疱疹ウイルスの初感染によって発症します。水痘、帯状疱疹ウイルスの空気(飛沫核)、飛沫、接触感染で感染します。初感染が水ぼうそうという形で小児に発症しますが、水痘、帯状疱疹ウイルスの既感染の再活性化(再燃)は帯状疱疹という形で成人以降に発症することが多いです。
症状は発熱と同時に発疹が出現します。発疹は、虫さされのような発赤から始まり、水ぶくれとなり、最後はかさぶたのようになります。発疹は体から手足に広がります。水痘ワクチンを接種していてもかかることがありますが、軽症ですむことが多いです。かさぶたになったら登園・登校は可能です。
治療には、発疹部にぬり薬(カチリ)や抗ウイルス薬の飲み薬(ゾビラックスやバルトレックス)があります。家族の中で、水痘の未感染者がいらした場合、水痘の患者と接触して72時間以内に水痘ワクチンを緊急接種すると、多くは予防でき、発症しても軽症ですみます。
水痘ワクチンが定期接種化され、1回目が生後12か月~15か月で、2回目が1回目接種から6~12か月後に接種の計2回接種します。2回接種をすることで水痘がかなり減少すると思われます。かかると重症化することがあるので、早めに予防接種を受けることをお勧めします。
りんご病(伝染性紅斑)
ヒトパルボウイルスB19の飛沫感染によって感染します。ほっぺがりんごのように赤くなり、手足もレース様の発疹がでるのが特徴です。微熱や頭痛が出ることがありますが、発疹以外は無症状の事がほとんどです。日光に当たると、赤みが強くなります。いったん消えても、再び出ることもあります。子供がかかっても心配ない病気ですが、成人がかかると関節炎をおこし、妊婦がかかると胎児に影響が出ることがあります。潜伏期間は14~21日間で、好発年齢は乳児~学童期です。
治療は、ウイルス感染症なので抗生物質はなく、対症療法(症状に対しての薬の投与)になります。
手足口病
手足口病は、コクサッキーウイルスA16型やエンテロウイルス71型が原因で発症します。手、足、口の中に米粒ほどの水疱性の発疹ができます。口の中にできると、痛みで食事ができなくなることがあります。発熱や下痢、嘔吐を伴うこともあります。鼻水、唾液から感染しますので、よく手を洗うことが大切です。複数のウイルスが原因なので、何度もかかることがあります。潜伏期間は3~6日間で、好発年齢は5歳以下です。髄膜炎の合併に注意が必要です。
治療はウイルス感染症なので抗生物質はなく、対症療法(症状に対しての薬の投与)になります。
ヘルパンギーナ
ヘルパンギーナはコクサッキーウイルスA2、4、5、10型を原因とする疾患です。夏によくみられる感染症で、夏風邪の一つです。突然の高熱とのどに小さな水疱ができます。のどが痛くて食欲が落ちたり、吐いたりする場合もあります。発熱は2~4日で軽快し、発疹も消失します。複数のウイルスが原因なので、何度もかかることがあります。潜伏期間は2~4日間で、好発年齢は4歳以下で、最も多いのは1歳前後です。
治療はウイルス感染症なので抗生物質はなく、対症療法(症状に対しての薬の投与)になります。
突発性発疹
ヒトヘルペスウイルス6型、7型の初感染によって発症します。ほとんどが母親などの成人の唾液中のウイルスから感染します。生後10か月から1歳頃に38℃~40℃の高熱が3~4日続き、熱が下がると、その後全身に発疹が出て、不機嫌になったり、便が緩くなったりすることもあります。2回かかることもあります。合併症に注意しながら様子をみて、症状を和らげる治療を行っていきます。
治療はウイルス感染症なので抗生物質はなく、対症療法(症状に対しての薬の投与)になります。
アデノウイルス感染症、咽頭結膜熱(プール熱)
アデノウイルスによる感染症です。発熱、のどの痛みや腫れ、目やに、目の赤みなどの結膜炎の症状がみられます。吐き気や腹痛、下痢などを伴うこともあります。咳やくしゃみ、手指を介して感染します。主として夏季に乳児に流行し、プールを介して目の結膜から感染することもあります。結膜炎の症状が強い場合は眼科での治療が必要です。
診断は咽頭ぬぐい液で迅速検査を行います。
治療はウイルス感染症なので抗生物質はなく、対症療法(症状に対しての薬の投与)になります。
マイコプラズマ感染症
マイコプラズマによる感染症で、幼児や学童期に多く発症します。長引く咳、普通の風邪薬では効かないのが特徴です。熱が出ることもあります。マイコプラズマに対する抗生物質(クラリスロマイシン)を使用して治療します。ゼイゼイと喘鳴が出ることもありますので一時的に喘息の治療を加えることもあります。診断は咽頭の粘液をぬぐって検査に提出して迅速検査します。
百日咳
普通のかぜと変わりませんが、長引く咳、夜間に顔を真っ赤にして激しくせき込むのが特徴です。4種混合ワクチンを受けていない場合にかかることが多く、赤ちゃんには危険な病気です。普通の風邪薬や抗生物質では効かず、百日咳対する治療(クラリスロマイシン)があります。
RSウイルス感染症
RSウイルスに感染すると、発熱・咳・鼻水などのかぜ症状がでます。多くは軽症ですみますが、乳幼児が初めてRSウイルスに感染すると、中耳炎、細気管支炎や肺炎になることがあります。低出生体重児や心臓、肺に病気がある場合は要注意です。成人の場合は軽いかぜ症状ですむ場合が多いので、乳幼児にはうつさないようにマスクを着用し、手をよく洗いましょう。
治療はウイルス感染症なので抗生物質はなく、対症療法(症状に対しての薬の投与)になります。特効薬や予防接種はありません。鼻水が多くなるので、こまめに鼻を吸うなどしてください。
中耳炎
鼻、のどからの細菌が耳に入り炎症が起こる病気です。鼻、のどは耳とつながっています。鼻かぜをこじらせて中耳炎になることが多いのです。鼻かぜをひいた後、なかなか熱が下がらない、耳を痛がる(痛がらないこともあります)、しきりに耳に手をやるなどの症状がある場合は中耳炎を発症しています。好発年齢は幼児です。
治療は抗生物質の薬を飲みます。再発したり、長引くこともありますので、こまめに経過をみることが重要です。なかなか治らない場合や繰り返す場合は耳鼻咽喉科に紹介します。中耳腔に膿性な分泌物が貯留している可能性があり、切開して分泌物を出すことが必要になり、耳鼻咽喉科の対応になります。
副鼻腔炎
長引く咳、発熱、鼻、鼻づまり、めやに、頭痛、口呼吸が症状です。かぜが原因ですが、アレルギー性鼻炎が合併していることもあります。
治療は抗生物質の薬を飲みます。再発したり、長引くこともありますので、こまめに経過をみることが重要です。
とびひ(伝染性膿痂疹)
「とびひ」は、主に高温多湿になる5~6月から夏にかけて皮膚の抵抗力の弱い、0~6歳のお子様に見られます。水ぶくれやじゅくじゅくした湿疹ができて、1~2日後にはあっという間に広がることがあります。黄色ブドウ球菌という皮膚に常在する菌による皮膚感染症です。虫さされや傷などに感染して、かゆみを伴う水疱が現れ、それを掻いた手で他の部分を掻くことで飛び火のように広がるため、そのように呼ばれています。
治療は抗生物質の内服や抗生物質の軟膏を塗ることです。
感染性胃腸炎(嘔吐下痢症)
ウイルス性と細菌性があります。ウイルス性はノロウイルスとロタウイルスが大部分を占めます。細菌性ではキャンピロバクター、サルモネラ、病原性大腸菌が三大原因で食事摂取性(食中毒)です。症状は、はきけ、嘔吐、下痢、腹痛、発熱などの症状が出ます。乳幼児では、脱水症に注意する必要がります。特にノロウイルスは感染力が強く、ノロウイルスに汚染された下痢便、吐物、オムツは次亜塩素酸ナトリウム(ハイターなど)で消毒する必要があります。
診断は、細菌性を疑う場合、便培養による菌の同定、ベロ毒素産生の有無を調べます。ノロウイルスを疑う場合は、便の迅速検査があります。
治療ですが、ウイルス性胃腸炎には特効薬や予防接種はありません。脱水にならないようにするのが目標です。脱水が強い場合は点滴をします。細菌性を疑う場合は、抗生物質が有効です。受診時には便の様子を写真でもいいので見せてください。
尿路感染症
膀胱や膀胱より上方の尿管、腎盂腎杯に細菌が混入した状態です。こども特に乳幼児の尿路感染症は症状がはっきりせず、診断が難しく注意が必要です。熱の原因がわからない場合は、尿の検査をして尿が汚れていないか(尿検査で白血球が増えていないか、尿の培養検査で菌が検出してくるかどうか)調べましょう。尿が汚れていた場合は抗生物質の内服や状況によっては抗生物質の点滴治療が必要で、その時は入院加療が必要となります。
ヘルペス性歯肉口内炎
単純ヘルペスウイルス1型による初感染で、1~3歳時の乳幼児によくみられます。39~40℃の高熱が3~5日続き、 口唇、口腔粘膜、舌、口蓋に小水疱が出現します。歯肉の発赤腫脹を認め、ちょっとした刺激で出血をすることもあります。
治療は、痛みが強い場合には痛み止めを使用し、重症の時には抗ウイルス薬の内服を行います。
熱性けいれん
典型的には、発熱に伴って、全身がこわばってがくがくし、呼びかけに返事がなく顔色が悪くなり、多くは数分以内、長くても5分以内におさまります。通常生後6ヵ月から5歳の乳幼児におこり、日本では人口の8%前後でみられ、脳の未熟性や遺伝的な素因が関わって起こると考えられています。発作の時間や型によって、また発作が再発しやすい素因がある場合には、予防としてダイアップ坐剤を使用することがありますので、必要時には医師と相談の上使用を開始しましょう。
川崎病
4歳以下の乳幼児に起こる原因不明の血管炎症候群です。何日も続く高熱、両目の充血、唇や舌の発赤、手足の腫れや発赤、発疹、首のリンパ節腫脹などが起こります。BCGの接種部位が発赤することもあります。重大な合併症として心臓の障害が起こることがありますので、治療は高度医療機関にご紹介し、入院の上、アスピリンの内服、免疫グロブリンの投与などを行います。